医療事務の仕事 資格取得と採用のポイント

医療保障制度と医療事務

医療事務の仕事につくためには、医療保障制度の知識が必要となります。医療事務の中核となる仕事といえばレセプト業務ですが、医療保障制度はこのレセプト業務と深い関係を持っています。怪我や病気などで医療にかかる場合には、医療費がかかりますが、個人が払うこの医療費をできるだけ低く抑えるため、国民が医療費を負担し合う制度、これが医療保障制度です。医療保障制度の中身は、医療保険制度、老人保健制度、公費負担医療制度で構成されています。以下、それぞれについて簡単に触れておきましょう。

医療保険制度は、各職場で働く者同士が自分たち仲間のために、収入に応じて、拠出し合うことを取り決めた制度で、職場の違いで、組合管掌健康保険、政府管掌健康保険、共済組合、船員保険のいずれかに加入しなければなりません。これらに加入しない場合、国民皆保険制度が建て前としてとられているので、国民健康保険の加入が義務づけられます。医療事務の仕事には、これら別々の保険元にレセプトの請求を行うことが含まれています。他方、収入が限られ、かつ、病気が頻発、長期化しやすい老人のためには、保険料の軽減が必要となりますが、そのため老人以外の人が、その保険料を負担し合う制度、それが老人保健制度です。老人保健の運営は地方自治体が行っています。老人保健に関する手続き業務、これも医療事務の大切な業務の一つです。ところで、健康保険を使って医療機関にかかると、自己負担分を超えた医療費に関しては、政府や地方自治体が負担してくれます。しかし、病気の状況などによっては国も負担すべき場合が出てきます。そのために作られた制度が、公費負担医療制度です。この制度の下でも、レセプト業務が医療事務の業務として重要になります。