医療事務の仕事 資格取得と採用のポイント

医療事務

病院や診療所などの医療機関、歯科医院には医師、看護師、ソーシャルワーカーなど主として患者自身を受け持ち、処置することを仕事にする人たちと、診療費計算、カルテの整理、窓口応対、書類作成、レセプト業務などを一手に司り医療業務の流れを円滑に処理することを仕事にしている人たちとがいます。

後者の人たちを、医療事務と呼びます。医療事務の仕事は、専門のレセプト点検業務から始まって、多岐にわたります。近年増加傾向にある医療事務とは一体どのような職種なのか、その内容を以下みていきたいと思います。

医療保障制度と医療事務

医療事務の仕事につくためには、医療保障制度の知識が必要となります。医療事務の中核となる仕事といえばレセプト業務ですが、医療保障制度はこのレセプト業務と深い関係を持っています。怪我や病気などで医療にかかる場合には、医療費がかかりますが、個人が払うこの医療費をできるだけ低く抑えるため、国民が医療費を負担し合う制度、これが医療保障制度です。医療保障制度の中身は、医療保険制度、老人保健制度、公費負担医療制度で構成されています。以下、それぞれについて簡単に触れておきましょう。

 

医療保険制度は、各職場で働く者同士が自分たち仲間のために、収入に応じて、拠出し合うことを取り決めた制度で、職場の違いで、組合管掌健康保険、政府管掌健康保険、共済組合、船員保険のいずれかに加入しなければなりません。これらに加入しない場合、国民皆保険制度が建て前としてとられているので、国民健康保険の加入が義務づけられます。医療事務の仕事には、これら別々の保険元にレセプトの請求を行うことが含まれています。

 

他方、収入が限られ、かつ、病気が頻発、長期化しやすい老人のためには、保険料の軽減が必要となりますが、そのため老人以外の人が、その保険料を負担し合う制度、それが老人保健制度です。老人保健の運営は地方自治体が行っています。老人保健に関する手続き業務、これも医療事務の大切な業務の一つです。ところで、健康保険を使って医療機関にかかると、自己負担分を超えた医療費に関しては、政府や地方自治体が負担してくれます。しかし、病気の状況などによっては国も負担すべき場合が出てきます。そのために作られた制度が、公費負担医療制度です。この制度の下でも、レセプト業務が医療事務の業務として重要になります。

医療事務の仕事形態

医療事務の仕事は、上記ようにレセプト業務という専門の仕事のほか窓口業務、患者の診療費の計算を主な仕事内容とする会計業務などの本来の医療業務専属の業務がありますが、それ以外に、医療秘書業務があります。

配属される部署によって、院長秘書、医局秘書、看護部長秘書などに分類されます。秘書業務は各配属先のスケジュール管理、接客、電話対応、資料整理、身の回りの整理整頓など一般企業の秘書と同じような業務内容になります。

 

医療事務の仕事は病院や診療所などの医療機関のほか、歯科医院が対象となります。ただし歯科医院の場合には、一般の医療機関と比較すると、自費診療の部分が多いのでレセプトの計算方法が異なってきます。歯科医院の医療事務を希望する場合にはそのあたりのことを考えて学習しておく必要があります。また、調剤薬局にも医療事務の仕事があります。薬自体は薬剤師しか扱えないことになっていますので、薬局内の事務一般が医療事務ということになります。

 

医療機関など特定の職場で医療事務を行うこれまでの事務形態に対し、近年増加しつつあるのが、在宅ワークです。レセプト点検を在宅で行うのです。ただし、個人情報保護の観点から、厚生労働省は、レセプト点検業務は医療機関などの保険元の管理下で行う旨の取り決めをしています。従って、在宅ワークが一般化することは現時点では難しいと考えるべきでしょう。

 

さらに、医療事務の複雑化、高度に専門化された今日、医療事務自体を外部の専門企業に委託する医療機関が増えてきています。いわゆるアウトソーシングといわれる、外部発注形態です。医療機関の経営の効率化からアウトソーシングをする病院が増えています。

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医療事務の魅力

医療事務の、他の事務と異なる魅力の一つに、一定期間だけ集中して就労すればすむという、副業としてのそれがあります。レセプト点検業務などの主要な業務は、月末から月初の10日間ほどの間に集中しているので、短期で収入を得たい主婦などには魅力的な副業となりうるのです。

資格からみた医療事務

さて、このように勤務形態に短期集中型や常勤型、仕事内容が専門のレセプト点検業務以外にも多岐に渡る業務内容を持つ医療事務ですが、医療事務に関連する資格を次にみておきましょう。

 

医療事務関連の資格には、医療保険士、医療秘書士という民間主催の資格があります。前者は、医療保険学院が主催するものです。他方、後者は、財団法人日本病院教育協会が主催する資格です。

これに対して、公的資格が、診療報酬請求事務能力認定試験に基づく資格と、医療事務技能審査試験に基づく資格とがあります。民間の資格よりも公的資格の方が社会的信頼が高いため、専門学校では公的資格取得に比重をおいた指導を行っています。

なお、医療事務には国家資格がないため、法律レベルで保証された資格がなく、上記いずれの資格も医療事務を行うに当たっては不要です。しかし、医療機関などが医療事務員を採用する場合には、当然のことながら、有資格者を優先することは言うまでもありません。さらに、資格の中でも、公的資格という社会的信頼の高いものを重視します。

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医療事務の資格をとるために

ところで、上記の公的資格を取得するためには、基本的には専門学校に通うことをお勧めします。確かに、テキストベースだけでの学習でも、資格を取得できないわけではありません。しかし、正確な知識を取り入れるためにはやはり専門の学校に通うべきです。また、実践的な業務内容も分かりやすく指導してくれます。さらに、これが最も大切な点かもしれませんが、資格取得後の就職斡旋をやってもらえる点は見逃せません。そして、これらのバランスが最も取れている専門学校として、ニチイが上げられます。

ニチイの医療事務講座

ニチイの医療事務講座で特筆できるのは、通学や通信講座に加えて、AV(オーディオ・ビジュアルスクール)という、通学と通信を折衷したような講座がある点、学習フォローが修了後1年以内まで有効である点、通学途中から通信へ編入可能という点、紹介割引、学生割引に加えて、過去に受講した人のために受講経験割引がある点、就業サポートが完備している点が上げられます。ニチイでは、公的資格のうち、とりわけ重要な資格である医療事務技能審査試験2級(財団法人医療教育財団主催)の合格を目標としています。毎年多数の合格者を輩出しているニチイの講座で、安定した学習を行うことをお勧めしたいと思います。

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